【イベントレポート】第3回「横浜・日ノ出町を面白がる会 治安の悪いイメージを払拭するために(Tinys含む)高架下空間で出来ること編」
2018年6月6日、横浜市日ノ出町の「Tinys Yokohama Hinodecho(タイニーズ ヨコハマ ヒノデチョウ)」において、第3回目の「横浜・日ノ出町を面白がる会」が開催されました。今回のテーマは”治安の悪いイメージを払拭する編”です。
横浜・日ノ出町を面白がる会の第1回は“ 夜の路地歩き編”として日ノ出町を飲み歩いて、リアルな日ノ出町を感じる会。そして第2回は“日ノ出町のよいところ、悪いところ編”として、町の課題を洗い出す会でした。いよいよ最終回となる第3回は今までの議論を受けて課題を解決するアイデアを出すことに。
桜が美しい大岡川や、横浜中心地へのアクセスのよさ。隣にある飲屋街として有名な野毛とセットでアピールできるポテンシャルなど、グッドポイントがたくさんある日ノ出町。それにも関わらず、良い点が活かし切れていない現状をどうしたらよいのか……。第2回の「面白がる会」で課題としてあげられた“元違法風俗街” “競馬の馬券売り場がある街”といったマイナスイメージを、払拭するアイデアはでてくるのでしょうか?
( 第1回レポート / 第2回レポート を見逃してしまった方はこちら)
必要なのは、自由に飛躍するアイデア

第1回、第2回とも告知後すぐに満員になってしまった「横浜・日ノ出町を面白がる会」。第3回当日の6月6日は小雨の降る天気でしたが、当日参加者も含め、今回も会場は満員御礼でした。
ブレストに先立って、「面白がる会」の主催者唐品知浩 (からしなともひろ)さんから、今回のテーマの説明と「面白がる会」参加の注意事項の説明が。
「面白がる会」は、17世紀〜18世紀にかけてイギリスで流行した“コーヒーハウス文化”のように、階級を飛び越えた意見交換の場であること。そして、基本は“飲み会”であること。いろんな立場の人がブレストしつつ楽しくお酒を飲む場なので「他人の意見を否定することや、専門用語の多用、そして偉そうにすることは禁止」とのこと。
「みなさん、ご自身をドラえもんだと思ってください」と、唐品さんは言います。「のび太君が『日ノ出町の治安の悪いイメージを何とかしてよ〜!』と泣きついて来たとします。そうしたら、あなたは四次元ポケットからどんな道具を出しますか?ありきたりな道具じゃダメですよ。自由な発想で考えてみてください」
なるほど。「面白がる会」に集まった人は、基本的に街づくりの専門家ではありません。でも業界の外から来た門外漢だからこそ、未来から来たドラえもんが持っているような、アイデアの“飛び道具”を持っているのかもしれませんね。
議論の隠し味は、モデレーターの“面白がる” チカラ?

唐品さんのお話が終わると、テーブルごとにブレストがスタート! 皆さん自己紹介から始め、思い思いに意見を発表し、画用紙に書き留めてゆきます。
筆者が会場の様子を見ていると、自分に引き寄せて街への思いを語る人が多いのが印象的でした。日ノ出町の周辺で働いている人、また日ノ出町に住んでいる人、日ノ出町には馴染みがないけれど、街づくりに興味がある人。皆自分の立場を示して、そこからアイデアを出しているので、それぞれのアイデアが個性的です。
ブレストする人々の間に、時折モデレーターの唐品さんがやって来て、みんなのアイデアに耳を傾けます。その時に唐品さんが面白がった内容や、ふとこぼした感想が起爆剤となって、さらにテーブルの会話が盛り上がっているようでした。

今まで100回を超えて開催されている「面白がる会」からは様々なアイデアが実現しています。「神田を面白がる会」からは「MID STAND TOKYO」というキッチン付きイベントスペース。そして唐品さんが最初に行なっていた「調布を面白がる会」からは、今や人気イベントとして各地を巡回する「ねぶくろシネマ」がうまれたそう。
「面白がる会」は、それぞれが言いたいことを言う“ゆるさ”と、モデレーター唐品さんの“引き出し力”が特徴。その独特の雰囲気につられ、自由なアイデアがどんどん引き出され、多くのユニークなアイデアが実現しているのかもしれません。
作品発表タイム!実現したいアイデアはどれ?
最後は恒例の発表タイム、代表者が各テーブルで出たアイデアをプレゼン! プレゼン内容とモデレーターのコメントを、ダイジェストでお伝えします。
グループ1
電車の走行音がある高架下。そしてかつてはちょんの間といわれる違法風俗店があった土地柄。それらのマイナス要素を逆転の発想で活用する高架下の「ちょんの間スタジオ」を提案。
具体的には高架下にちょんの間のような小さなブースをつくり、音楽スタジオにすることで、音に寛容な場所を利用する。
また、中にいる女性を選べるちょんの間のシステムを換骨奪胎して、週末の音楽イベントに活かす。アーティストとスカウト、そして地元の人の出会いの場としてはどうか。
グループ2
日ノ出町にはピンク街のイメージがあるが、風俗街のピンクではなく若者が好む可愛らしいピンクにイメージを塗り替えてしまったらどうか。
たとえば大岡川にピンクのスワンボートを並べる、ピンクを使った服のファッションショーをやる。高架下のプールやキッズランなど、子供が喜びそうな施設もあるとよい。
また外国人が多い土地柄を利用して、各国人主催のフェスをやるという手もある。
グループ3
川を観光資源として活用し「日本のベネチア」を打ち出したい。船を浮かべ、ベネチアに関連した、イタリア料理の飲食や音楽の路上ライブなどを行う。野毛が大衆酒場のイメージなので、趣向を変えてオシャレな雰囲気にすることで差別化する。
約束の1時間前についても、楽しく時間をつぶすことができるスペースが欲しい。日替わりで色々な人がバーをやれるようなスペースがあったらよいのでは?
またVRを活用できたら面白いことができそうだと思う。
グループ4
高架下の特徴を活かして、メンバーそれぞれの好きなことを実現する案を考えた。
野毛に動物園があるから、あえて野毛にはいない動物をつれてきて、セットで「日野毛動物園」として打ち出すとか。
薪バー、プラネタリウム。高架下の天井を使って、天井に何かを映すスペースにしてはどうか。下にはハンモックを置いて寝転がりながら、みんなで天井に映写された漫画を読むなど。また、ミニテニスなどを行なってはどうか。
グループ5
そもそもこのイメージが悪いか。どういう人がどういう観点で治安が悪いと思われているかということから考えおこした。
ちょんの間があるから治安が悪いと思う人がいた一方、ちょんの間がなくなって人がいなくなったから治安が悪くなったと感じている人もいる。
土地にある歴史を消すことはできないのだから、ちょんの間に関わっていた人も含めて、人生経験のある人に話を聞いてもらえるとしたら、需要があるのではないか。
結局のところ、街を明るくするのは“人”なのだから、今までこの街にかかわってきた全ての世代の人が集まって、相談事ができるような居場所を高架下に作れないか。
アイデアは誰のものでもない。実現したければ動き出そう!
発表が一通り終わると、会はお開き。最後に唐品さんが言っていたことは「出たアイデアは、誰が実現してもよい」ということ。自分が出したアイデアでなくても、やりたければ手をあげて実現すればよいし、逆に自分が出したアイデアを他の誰かが実現しても、こだわらない。
「やりたいことがあったら、素早く動き出すことです!」と唐品さん。
帰り間際の歓談タイムで、参加者の方が「『横浜・日ノ出町を面白がる会』がずっと続いて欲しかった」とおっしゃっていました。オフィシャルな「面白がる会」はこれで終わりですが、これからは参加者主体でアイデアを実現してゆく時間。「Tinys Yokohama Hinodecho」は、これからも日ノ出町を“面白がる”みなさんのご来場をお待ちしております!
主催
京浜急行電鉄株式会社
http://www.keikyu.co.jp/
Tinys Yokohama Hinodecho by YADOKARI
http://tinys.life/yokohama/